「丸い卵も切りよで四角 モノも言いよで角が立つ」ってね

http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NIP/skillup/20050616/162851/
IT-Proさんの記事。あたしが珍しく「比較的評価している」女性の記事よ。内容はコミュニケーション絡み。
ただ…今回の記事はまだちょっと甘めだったわね。


http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NIP/skillup/20050616/162851/ より
「伊藤さんの気持ちもわかるけど,あの言い方はキツイね。お客さんが困った顔をしていたのに気付かなかった?」──。以前,お客様と進ちょく確認の打ち合わせをしたあとで,同席していた上司からこんな注意を受けたことがあります。
そのプロジェクトは設計段階から変更が多く,プログラム製造の工程に入ってからも仕様変更が続出。プログラミングを委託している協力会社の5人のメンバーのやる気は削がれ,プロジェクトのサブリーダーだった私は板挟みに。スケジュールもギリギリだったため,ついつい「今からでは間に合いません」,「予算的に無理です」と単刀直入に拒否してしまったのでした。
そうねぇ。背景が見えていないので断定は難しいんですけれども。
やっぱりコミュニケーションには色々なテクニックも必要よ?


ただ…ここで載っている講師の発言が必ずしも正じゃないよのね。困ったことに。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/NIP/skillup/20050616/162851/ より
1つ目は,お客様からの要望を受け入れるわけに行かないときの説得の仕方です。無理な要望を言われたとき,「無理です」,「できません」と最初から拒否するのではなく,まずはお客様の意見を認識し共感を示すのが重要とのこと。例えば無理な仕様変更の要望が出てきた場合,同じ断るにしても,次のような言い方をするとよいそうです。
「なるほど,事情はよく分かりました。そういう事情があったために,この仕様変更が必要になったわけですね。ただし今回のプロジェクトで対応するとなると,納期や予算がオーバーしかねません。ほかの仕様変更もあり,これ以上はどうしても対応が難しいのです。そこで,ひとまず懸案事項一覧に載せておき,状況を見て今回のプロジェクトに組み入れるか,次期開発に回すか検討するのはどうでしょうか?」
結局やんわりと断っているのですが,お客様にとっての印象は変わってきます。「(ベンダーが)自分の事情をちゃんと理解している」,「客観的に見て仕様変更は無理かもしれない」,「今回は無理でも次期開発に回すことで納得しなければならないかも」という印象を,お客様に持ってもらえれば成功です。
ちょっと見解が甘いわ。どんな風に甘いかを解説していくわね。


コミュニケーションっていうのは、当然なんですけれども、「相手に」「自分の意思を」「伝える」ことが必要なの。
ここで一番の問題は「どんな意思を伝えたいか」っていう部分なのよね。まずそこが決まらなきゃ、お話にならないの。
上記の例だと「そのお客とはつながっていたいけれども今回の仕様変更要求はやんわりと断りたい」っていう意思に基づくものだと思うの。で、それなら上記のやり方ってありだと思うの。
でも場合によっては「仕様変更を受けてもいいけど受注金額まで言及したい」とか「トラブルが多すぎるからやんわりと縁を切りたい」とか、色々な意思の可能性があるの。そういった部分への考察がかけている点が甘い、って思うのよね。


もうひとつ深く考えるんなら「なんで相手はそのタイミングでそういう言い方でその内容を言ってきたか」。つまりは相手の発言の真意とか裏とかってのを考察するのも大切だわ。
あるいはそれは「仕様変更の言及を足がかりに値下げ要求を図る」つもりかもしれないわ。単純に「上司から怒られて必死なだけ」なのかもしれないわ。場合によっては「無理な仕様変更を断らせておいてそれを足がかりに発注そのものをチャラにする」ことが目的であるかもしれないの。
そういった、相手の真意をきちんと把握して受け答えしないと、一歩間違えると「相手の思い通りにはめられる」ことになりかねないわ。


交渉で一番大切なのは、結局「相手と自分を知る」事なの。いつも言ってるわよね?
相手は何を望んでいて、あなたは「それを踏まえたうえで」どんな展開にもっていきたいのかしら?
言葉は単語を選んで、語尾にも気をつけて。しゃべるなら間を、抑揚を、大切に。表情にゼスチャーも忘れちゃいけないわ。文章なら行間までも読むつもりで。たった一つの句読点に深い意味がある場合さえあるわ。
そうやって、自分の知性を120%フル稼働させて始めて、しっかりとした交渉ができるのよ?