まだ考察がまとまってないのね?

http://ishbash.blogtribe.org/entry-2d4b6b85928c93e395500584a33f8202.html

いくつかの人たちへの発言にちゃんと回答をしている姿勢はとても立派だと思うの。ただ内容は相変わらず突っ込みどころが多いわ。


・今の状況で、著作権侵害はしていいか
NO。ただし、直感的には今の著作権のやり方はいろんな面で間違っていると個人的には思う。
そうねぇ。まぁ法律屋さんではないからこの辺に詳しく突っ込みをいれて、とはいえないんですけれども。できれば「その直感を導き出した資料」くらいは書いていただけるとありがたかったかしら?
でもまぁ、著作権まわりの問題は、一度きちんと法律屋さんの厳しい突込みを待ちたいところだわね。


P2Pに匿名性は必要か
P2Pに」と言われればNO。設計の目的によります。
この文章ってつまり「WinnyにとってはYes」ととることが可能な文章だわ。つまりそれはWinnyに対して「P2Pソフト」以上の、何らかの属性を付与したいっていう意思よね?


winnyは擁護されるべきか
文脈による。社会的な責任という面からは、おそらく著作権侵害の文脈では多くの場合NO。トラフィックが多すぎて困るというような文脈やウィルスが……というような文脈では、多くの場合筋違い。ただし、トラフィックの問題については、また思うこともある。
少なくともトラフィックに関してISPが迷惑を被り、恐らくは何割かの一般ユーザが迷惑を被ったのはれっきとした事実だわ。そうでなかったらどうしてわざわざコストをそれなり以上にかけてまで「Winnyトラフィックを選択して制限をかける」なんていうことをするのかしら? つまりそこには「わざわざ制限をかけるために必要なコスト*1」以上の問題が発生していたからなのよ?
というか、擁護に関しては「擁護したい」という欲望は見えるんですけれども、その欲望を満たすために無理やり状況をこねくり回そうとしているように見えてしまうわ?
まぁ欲望自体はきらいじゃないんですけれども。欲望はしっかりと昇華してこそ、ってのをどこまで頑張ってくれるのかしら?

さて。あたしも気になっている「匿名性」のネタへの切込みよ。


たとえばコンテンツの合法的な流通を目指すソフトウェアであれば、むしろ匿名性を排除して作った方がほとんどの場面で適切だと思います。問題があるケースですぐに思いつくのは、表現するのに匿名性を要するような創作物を発表したい場合にだけ、ですかね。
これに関しては高木先生が一歩深い考察をなさっているわ。

http://d.hatena.ne.jp/HiromitsuTakagi/20040516#p1より
たしかに、コンテンツの著作者がコンテンツの内容の都合等で、著作者を秘匿したい場合はあるかもしれない。だが、そういう場合は、秘密を一定の条件の下で約束してくれる代理人に放流してもらえばよいことだ。


winnyの匿名性が技術的にどの程度のものだったかはともかくとして、winnyに匿名性を強める機能を導入したのは、どうやら非合法なコンテンツを流しやすい雰囲気を作るためだということは間違いなさそうです。少なくともその設計意図が順法精神に欠けていたとは言えるでしょう。
そう。この部分がとっても重要だと思うの。是非を問うつもりなんてあたしには毛頭ないわ。ただ、47氏が「著作権法上非合法なファイルを流しやすいように」考えていたことは十二分に予想できると思うの。


winnyが参考にしたfreenetのプロジェクトでは、「言論の自由を技術的に保証する」ことが主要な目的であると断言しています。この目的には、匿名性は必要でしょう。そしてこの設計意図が順法精神に欠けているとも思えません。
違うわ。そうねぇ。また敬愛する高木先生のところの文章を少しばかり引用させてもらおうかしら?

http://d.hatena.ne.jp/HiromitsuTakagi/20040516#p1より
匿名性にも複数の段階がある。誰にも特定できないレベルの匿名性と、一定の条件がなければ特定されないレベルの匿名性がある。後者の例としては、普通の掲示板書き込みが該当する。掲示板の書き込み者を特定するには、まず掲示板の管理者に書き込み者のIPアドレスの開示を請求し、そのIPアドレスからISPに契約者の連絡先を求めるというステップを踏むことになる。それぞれの場面で開示請求の妥当性がそれなりに判断されるので、つまらないことでなら、匿名性が暴かれる可能性は小さいといったバランスが形成される。
ここでいう「後者の匿名性」があれば、十分かどうかはともかく、ある程度の「言論の自由を技術的に保障する」ことは可能なはずよ?
「完全に誰が誰やらわからない」匿名性が必要な理由なんてないわ。少なくとも「そこから連想される危険が大きすぎて採用するに値しない」わ。違うかしら?


winnyは開発意図において順法精神に欠けるソフトウェアだし、順法精神に欠けるユーザーを多く生み出したことも確かです。それは確信犯的な行為なので、法を守る立場からすれば咎められるべき行為でしょう。自分でも咎められるとわかっていてやっていたことでしょう。でも、そのことと、「なぜそんなことをしたのか」「そこでは何が起こっていたのか」ということを理解することや、それを肴にいろいろ議論してみることは別問題です。
そうねぇ。この辺にはまったく異論はないわ。色々な議論のネタにすることはとてもよいことだと思うの。そして、きっとそれは47氏が考えていた(と主張している)思想背景にとてもマッチした行動なんじゃないかしら?
少なくとも「Winnyで違法ファイルげとー」と騒いでいる連中よりはよっぽど47氏に敬意を払った行動だと思えるのよね。あたしは別に敬意を払うほど関係を持っているわけじゃないんですけれども。


えーと、順法精神という言葉がとてもたくさん出てくるんですが、これは僕の迷いの表れでもあります。「法に従うこと」はもちろんほとんどの場合よいことだと思いますが、それは果たして至高の価値かという疑問が去らないのです。
ほっほっほ。順法精神? それって奴隷根性ってことかしら? あたしにはそんなものはかけらもないわ。
法律は本来「必要だから」出来たはずのものなの。でも、その必要性が「誰にとって必要か?」っていう初めの部分での躓きがまずあって、その上で「当初の意図をどこまで捻じ曲げていったのか?」という進化上の問題があるのよ?
あたしは(あたしが法律屋さんじゃないから、っていうのもあるんですけれども)現行法に従って「合法か違法か」っていう議論には一定以上の興味を示せないの。なぜならそれは「その法が本来なにを意図しようとしていて、その本来の意図と照らし合わせたときにどうなのか?」っていう本質的な議論が等閑にされやすいからだわ。
どうしてそう湖の表面のさざなみを細かく分析することしかできないのかしら? 湖の底には、根底に流れる思想ってものがあってよ?

最近色々コメントも増えてうれしい限りだわ。比較的にデリケートなネタだけに、まだまだあちこちで色々な意見が聞けそうだわね。
あたしの目からうろこが落ちるような素敵な発言をしてくれる殿方はいらっしゃらないものかしら?
楽しみにしているわ。

*1:おバカな子のために書いておいて上げるわ。純粋に技術的に帯域制限をかけるだけではなくて、対外広告やそれに伴う影響への考察など、色々なコストがそこには付随してくるのよ?