上っ面と建前と学歴だけがお好みかしら?

http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20041006/150921/
以前にも書いた、愚かな愚かな調査の続編だわ。
タイトルはとっても素敵なの。


http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20041006/150921/ より
IT技術者の2人に1人は“プロ未満”
「2万人調査」から人材像とスキル実態が判明
刺激的でよいタイトルだわ。あたしの豊満な胸が銀の弾丸で撃たれたような衝撃を覚えちゃうほどに。


http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20041006/150921/ より
日経ITプロフェッショナルが主宰する「iSRF(ITスキル研究フォーラム)」が2004年5月〜7月に実施した「第3回ITスキル調査」の最終結果がまとまった(中間結果は6月23日の記者の眼で報告)。
本調査では全国のITエンジニアを対象に,経済産業省が策定した「ITスキル標準ITSS)」に基づくスキル診断をWebサイトで実施。職種・給与・年齢・学歴といった属性情報やスキルレベルを集計・分析した。エンジニア1人ひとりの“立ち位置”の把握やスキルアップの指針作り,あるいはIT企業の人材育成戦略に役立ててもらうことが狙いである。
目的もとってもよろしくってよ。きっとエンジニア達の素晴らしい今後への指針となること間違いなし、って感じだわ。


とまぁ美辞麗句で遊ぶのはこれくらいにして、実態に移っていくわ。


http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20041006/150921/ より
本調査では,ITSSで定義された11職種のうち自分に当てはまると思うものを回答してもらった(図1)。回答が最も多かった職種は,主に業務システムの設計・開発を行う「アプリケーションスペシャリスト」(25.4%)。2番目の「プロジェクトマネジメント(以下,プロマネ)」(24.3%)と合わせると,この2職種だけでITエンジニア全体の約半数を占めた。
初手から突っ込みどころ満載だわね。
http://bp.e-shock.jp/itss-ds/entry/login/login.asp
から入れる「職種/専門分野の説明」を見ると一目で分かるわ。
アプリケーションスペシャリストは「業務に関するユーザーの要望を分析し、会計や顧客管理、製造や販売など適用業務アプリケーションの設計、構築、導入、テストを行なう。また、業務パッケージのカスタマイズ、機能追加、導入および保守を行なう。」、プロジェクトマネジメントは「プロジェクトの責任者として、プロジェクトの立上げ、計画策定、遂行・進捗管理を行ない、契約上の納入物にも責任を持つ。」って説明されているんですけれども、すでにこのあたりでおかしさが漂いまくってるの。
どうして多くの人がこの二つに流れ込んだかが、他の職種の説明をちゃんとチェックしているとすぐに見えてくるわ。


マーケティングやセールス、コンサルタントは、そもそも「IT エンジニアのスキル調査」というところに引っかかりにくいと考えられるわ。こういう連中は、どっちかって言うと「技術」よりも「営業」より、って自分のことを認識しているはずなの。だから今回のアンケートで下位に食い込むのは当然だわね。
ITアーキテクトってのもあるんですけれども。「顧客のシステム戦略に基づいて必要なソリューションの枠組みを策定し、システム方式を設計する。開発に関しては、必要に応じコンポーネント設計の助言も行なう。」ですって。これってアプリケーションスペシャリストとなにが違うのかしら? アプリケーションスペシャリストのほうが内容が多岐に渡ってるだけに、大抵はより広いそっちを選ぶものよ?
ITスペシャリストの「システム上の課題を解決するために必要なコンポーネントの設計、構築および導入を行なう。(コンポーネントとは、プラットフォーム、データベース、ネットワーク、分散コンピューティング、セキュリティなどのシステム構成要素)」も一緒。
ソフトウェアディベロップメントの「市場ニーズに基づき、OSやミドルウェア、業務パッケージ、パソコン用ソフトなどのソフトウェア製品を企画し、設計、開発を行なう。上位レベルではソフトウェア製品に関連したビジネス戦略の立案やコンサルテーションも行なう。」はソフトの選定だけ、っていうイメージを喚起させるし、カスタマサービス「コンピュータシステム、関連機器、ソフトウェア等について、導入・据付、正常な機能維持、機能拡張、障害修復、操作指導等を行なう。また、施設インフラについても設計・構築の管理および運営を行なう。」、オペレーション「システムの運転(定時、縮退)、ネットワークの運用/監視、サービスの維持、障害予防および障害回復を行なう。また、ユーザーからの各種問合せ、クレームおよび障害通知などに対するヘルプデスク業務を行なう。」、エデュケーション「IT職種のプロフェッショナルに必要なスキル開発を支援するために、ニーズに即した研修コースの企画、カリキュラムや教材の開発、インストラクションを行なう。研修後の実績評価および管理も行なう。」は技術者としては未熟な人間や、或いはサイドメニューとしてやっているような内容ばっかり。


これって単純に「そっちの方向に誘導したい」だけじゃないのかしら?


で、次に気になるのがここ。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20041006/150921/ より
今回の調査では,就業前に情報工学教育を受けた経験の有無,および情報工学を学んだ教育機関についても尋ねた。ITのプロとして仕事をする以上,学生時代に情報工学を体系的に学んで身に付けておくことは非常に重要だと考えたからだ。
実務で使用に耐える情報工学教育をやっていて、且つそれを「実務に使えるレベルで」習得している連中が、どの程度の割合で存在すると思っているのかしら?


http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20041006/150921/index2.shtml より
これらの数字を議論する前に,そもそも現在の日本の教育機関で,きちんとした情報工学教育が行われているのか,という問題もある。実際,本調査の中間結果を報告した6月23日付けの記事でも,「一口に情報工学教育と言っても,諸外国で行われているようなマネジメントも含めた教育なのか,電気工学や半導体工学などを指すのか,単なるプログラミングなのか,はっきりしない」という趣旨の指摘が読者からあった。
情報工学教育そのものがあいまいである点にせよ,基礎教育を半数以上が受けていない点にせよ,エンジニアの大多数が大学の専門教育を受けて実務で生かしている電機や機械,建設などの他業界に比べて,IT業界では基礎教育の立ち遅れが際立っていることは間違いないだろう。
と、このあたりは突っ込まれる前に回避、って感じではあるんですけれども。
基礎教育云々は、まず「教育する連中の教育」がきちんと出来上がってから述べてもらいたいものだわ。


http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20041006/150921/index2.shtml より
今度は,全回答者のスキルレベルの分布を見てみよう(図4)。最も低い「エントリレベル」(7段階のスキルレベルのうち,レベル1〜2に相当)の回答者は,全体の半数近い46.8%を占めた。
ITSSの定義によれば,エントリレベルとは「スキルの専門分野が確立するには至っておらず,当該職種の上位レベルの指導のもとで,業務上の課題を発見・解決できる」人材を指す。つまり,他人の助けを必要とする“プロ未満”のITエンジニアが,2人に1人近い割合で存在することになる。一方,「ハイレベル」(レベル5以上)の回答者は7.1%と,全体の1割に満たない。
ってのもかなりどうかと思うわ。
そもそも、技術を「自身の主観的評価」で大雑把にアンケートしただけで「該当技術者のスキルレベルをおおよそとはいえ推し量る」ってのは、技術のレベル判定としていかがなものかしら?
且つ、こんな曖昧で穴だらけの内容をもとに、タイトルの「IT技術者の2人に1人は“プロ未満”」という発言が出ているのかと思うと、今更ながら、マスコミ人の感性の図太さというか「とにかく当たりを狙うだけで真実は二の次」な姿勢に怖気が走るわ。


http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20041006/150921/index2.shtml より
スキルレベルは職種によって明確な差が出た。最も高かったのは平均レベル3.9のコンサルタント。これにプロジェクトマネジメント(3.6),エデュケーション(3.5),マーケティング(3.5)の3職種が続いた。
これって単純に「己が見えていない」だけって可能性もあるんじゃないかしら?
そのあたりの考察の甘さっていうかツメのぬるさってのが、このアンケートをただの「無駄なもの」、あるいはより最低な「恣意的なもの」に貶めている原因なんだわ?


http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20041006/150921/index2.shtml より
ここまで見てきたように,多くの職種では過半数の人材のスキルがエントリレベルにとどまり,若年層のスキル不足も目立つ。だが,こうした問題を一朝一夕に解決することはできない。企業での人材育成策や処遇制度,大学での情報工学教育,より実務に即したインターンシップなどの産学連携など,IT業界を挙げた取り組みが不可欠と言える。
あたしはその前に「現実をちゃんと直視できる能力」が必須だと思うんですけれども?
少なくとも、こんな「資源の無駄」を絵に描いたようなアンケートが横行しているうちは無理だと思うのよね。


http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20041006/150921/index2.shtml より
一方,個々のITエンジニアにとっては,スキルアップを図るにせよキャリア形成を考えるにせよ,まずは自分のスキルレベルと目指すべき職種像を明確にすることが欠かせない。今回の調査結果がそのきっかけとなれば幸いである。
これを見て「頑張ろう」って思う連中はその前に色々なきっかけから奮い立つものだし、奮い立たない人間はこんな大味なアンケートの結果程度で追いつまったりはしないわ。
つまりは「完全な無駄」ってことなの。


お題目はとっても素敵だと思うんですけれども。特にお役所が絡むと、楽しいくらい「中身がなくなる」のはどうしてかしら?
中身を換金して着服してるだけじゃ、世の中はいつかあなた達から離れていってしまってよ?