混ぜりゃいいってもんじゃなくってよ？
昨今また楽しいくらいに話題に上りやすいWinnyのお話なんですけれども。…なんていうのかしら。あんまりにも、状況が混ざりまくってないかしら？
議論をすることはよろしいことだと思いますの。でも、Winnyのお話っていうのはとても多岐多角にわたるお話の集合体のはずなのに、各人が「自分の一番主張したい一角のみ」を取り出してぶつけ合っている感が強すぎると思うの。それじゃどんな議論も収束なんてするはずもなくってよ？
まず、各種Winnyの規制とP2P技術自体への発展普及の阻害性なんですけれども。この話題にしてすでにいくつかの枝が存在しているわ。
根底にあるのは「WinnyとP2Pは==ではない」っていうお話。これはあたしが以前から散々わめいているから*1、これを読んでいる皆様はよくわかってらっしゃるはずよね？
ただ、ここに面倒な話があるの。つまり、実態は「WinnyとP2Pは違うもの」だとしても、現実問題として「いっしょくたにしている」方々がいらっしゃるの。ですから、必要に応じて「勘違いしている人たちを基準に」"Winnyの規制がP2P技術の発展を阻害する"という発想や理論展開をする可能性は十分にあるの。
このあたりからまず「相手の立脚点」ってのをちゃんと考えて議論しているのか、疑問だわね。
で。漏洩周りについては…漏洩している連中の愚かさとしか言い様が無いんですけれども。これに関して「そもそも大切な情報が杜撰に扱われていることこそがその根っこにある」って発言は正しいと思うの。だって「私PCに情報をcopyしてお仕事」してらっしゃるのよね？ その情報を「つい」小遣い銭稼ぎに売り出さない保障がいったいどこにあるっていうのかしら？
そのあたりの、根本的な情報管理の甘さやぬるさが本質として存在している、っていうのはあると思うわ。
ですからこのあたりに関して「本質的にはWinny云々以前の問題として」っていう発言は理解できるの。
官房長官の発言に関しては…そうねぇ。あたしは割合に同情的ですし、基本的に「愚かではあるけれども間違ってはいない」と思うの。「使わなければ被害が無い」ってのはもっとも基本的な発想だわ。プログラムはコードを書かなきゃバグが出ないもんですし、サーバはサービスを立ち上げなければセキュリティホールをつつかれる心配もなくってよ？
ですから、そういった観点において「使うな」っていう発言には一定の理があると思いますの。
ぷららさんが帯域を完全に止める話にしても。最終的にこの流れにおいては「一つの選択肢」だと思えるわ。元々、トラフィックから「一部のユーザによって帯域が使われすぎている」状況をいち早く絞ったISPですし。こういった動きが出ることはむしろ「容易に予測できた」んじゃなくってかしら？
実際に恐らく「Winnyでの流出がISP側で食い止るなら」って期待をする方もいらっしゃると思うわ。まぁそれはそれで問題も多々あるとは思うんですけれども。
で、最終的にWinnyの使用の是非を問う話になると思うんですけれども。使用の是非は各個人の考え方があると思うんですけれども、少なくともあれは確定で「非合法な使い方を成されているもの」ですわ？
アレだけの匿名性の確保*2からスタートして。どこぞのBlogでも書かれていたんですけれども*3。もし仮にWinnyが「学術的な調査だのなんだの」という戯けた言い訳の通りのものであるとしたら。どうしてきちんとしたプロジェクトを立ち上げて、個人名を正しく晒した上で「実権と称して」動かさなかったのかしら？
Winnyはそういった「実験であると想定できるもの」を一通り無視して、2chのダウンロード板とかっていうところを中心に全てが回っていたわ？
かつ。実際にどんなデータが流れているか、いたかなんてのはすぐにわかったはずですのに、大して大きな警告も出さずにいるわ。本当に「著作権法の違反を危険視する」んなら、立ち上がるたびに「著作権法に違反するものはUp/Downしないでください」とかなんとかいう表示から初めて、色々と対策も練れたはずよ？
なんか一部で擁護してらっしゃる方が「技術は本質的に白も黒も無い」とか「どんな技術であっても一定の擁護はなされるべき」とかあまつさえ「Winnyは著作権侵害を目的にしたものではない」とか、抜けるったけ抜けた発言しているみたいなんですけれども。
どうしてそこまで「現実を見ずに」ものを語れるのかしら？
どう考えてもWinny上で流れている大半は「違法なもの」なの。
もちろん「違法だからダメ」だなんて、あたしは思わないわ？*4 でも、違法な行為を「自らを正当化しながら」やるなんていう美学に反した行動だけは絶対に許せないの。
潔癖を主張するなら潔癖に生きて頂戴。悪に染まるんならしっかりと自覚した上で悪を成して頂戴。それこそが男っぷり女っぷりのよさってもんじゃなくってかしら？
あらゆるきれいな色を混ぜたその先にあるのは、見るも耐えない濁った黒だけなのよ？
