力技が好きな方々ってまだまだ多いのね?

最近何かとうわさの、ICタグ( RFID )のお話。
発端はいつものごとく、高木先生( id:HiromitsuTakagi )のPage( http://d.hatena.ne.jp/HiromitsuTakagi/20041022#p1 )からよ。
あたしとしては、このあたりは高木先生の突っ込みを楽しく拝見させていただいておわりにしよう…と思っていたんですけれども。あんまりにも楽しい記事が見つかったので、ちょっとだけちゃちゃを入れさせていただきたい、と思ったの。
そのPageは http://japan.cnet.com/column/ejapan/story/0,2000051073,20074704,00.htm から始まる「あなたの知らないICタグの(本当の)話」っていうPage。
あたしが目に留めたのは、3Page目の http://japan.cnet.com/column/ejapan/story/0,2000051073,20074704-3,00.htm にある、「プライバシー問題への対処」の部分よ。


http://japan.cnet.com/column/ejapan/story/0,2000051073,20074704-3,00.htm より
ICタグについてのプライバシーの問題はまだ問題は顕在化していません。リーダ/ライターがそこら中で売っているわけではないですから。ただし、消費者が不安に思う点があっただけで売れなくなるのがマーケティング的な鉄則なので、ここは予め不安を封じなければなりません。
確かにまだ、大きく顕在化はしていないわ。それでも、潜在的に問題があることが十二分に予想されているとあたしは認識しているの。それに対する、まがりなりにも「役所の人間」の発言が「消費者が不安に思う点があっただけで売れなくなるのがマーケティング的な鉄則なので、ここは予め不安を封じなければなりません。」なのかしら?
これって結局「いいから売っちゃえ〜」っていう発想でしかないのよね?


http://japan.cnet.com/column/ejapan/story/0,2000051073,20074704-3,00.htm より
一般的には役所は問題が起こってから対処するという事後対応が多いのですが、このようなルールメイキングの局面においては、もし不安があることが想定されるなら、もう先に作ってしまえば良いだろうと。実際に運用して、まずいところが有ればフィックスしていけばいいだろうという発想で対応しました。
…ものすごい発想だわ。
そもそも「フィックスできない問題ならどうするのか?」っていう疑問もあるんですけれども。
それ以上に疑問…というより確信できるのが、次に出てくる発言ってきっと「それは問題ではない」っていう、問題点を「見てみぬふり」的発言なんだろうと思うわ?


http://japan.cnet.com/column/ejapan/story/0,2000051073,20074704-3,00.htm より
行政法の言葉で「公定力」という、役所は絶対に間違っちゃいけない、役所の決めたことは絶対正しいという議論がありますが、米国のようにルールを作って、うまくいかなければどんどん直せばいいのです。将来的な課題ではありますが、そのような方針でプライバシーとICタグに関するルールを作りました。
ほーっほっほ。本音が出まくってるわね。なにが「役所は絶対に間違っちゃいけない、役所の決めたことは絶対正しい」かしら?
ご自分達が、どれだけ愚かなことをやり、それを反省もせずに開き直り、さらに愚を塗り重ね続けているのか。まったく理解できていない発言ね。
まぁ「現実への認識能力の欠落」のレベルが高くないと、こんな愚かな発言はそうそうできないわね?


でまぁ。一応、ガイドラインとやらが出ているそうなので、軽く拝見してみたわ。
http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0005035/
から辿れる、
http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0005035/0/040316ic.pdf
がそれにあたるの。
なんていうか…突っ込みどころが多すぎてどうしたらいいのかしら? って感じなんですけれども。
そうねぇ。軽くジャブ程度に打ってみるかしら?


http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0005035/0/040316ic.pdf より
第4 (電子タグの読み取りに関する消費者の最終的な選択権の留保)
事業者は、消費者に物品が手交された後も当該物品に電子タグを装着しておく場合において、消費者が、当該電子タグの性質を理解した上で、当該電子タグの読み取りをできないようにしたいと望む場合には、消費者の選択により、当該電子タグの読み取りができないようにすることを容易にできるよう、その手法についてあらかじめ説明若しくは掲示し、又は、当該物品若しくはその包装上に表示を行う必要がある。
ってところ「だけ」を読むととても心強いんですけれども。その後にある


http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0005035/0/040316ic.pdf より
電子タグの読み取りをできないようにする手法の例】
アルミ箔で覆って遮蔽できる場合はアルミ箔で覆うなど電子タグと読み取り機との通信を遮断する手法、電子タグ内の固有番号を含む全ての情報を電磁的に消去する手法、又は、電子タグ自身を取り外す手法 等
を読むと「あら?」っていう疑問が沸き起こるの。ICタグを取り外すっていうのは、視認できる場所にあれば可能だわ。でも、普通はアルミ箔なんて常時持ち歩いていないですし、「ICタグの情報を電磁的に消去する手段」だって個人での入手が容易とは限らないわ?
つまりこれって「方法はあるけど不可能に近い方法にすることで情報の最終的な選択権を合法的に奪う」事もできるってことじゃないかしら?
さらに


http://www.meti.go.jp/kohosys/press/0005035/0/040316ic.pdf より
第5(電子タグの社会的利益等に関する情報提供)
事業者は、消費者が電子タグの読み取りをできないようにした場合に、商品のリサイクルに必要な情報が失われることによる環境保全上の問題や、自動車の修理履歴の情報が失われることによる安全への影響等、消費者利益や社会的利益が損なわれることがある場合には、当該情報について表示その他の方法で消費者に対して情報提供に努める必要がある。
この辺もきな臭いわ?
結局、これを作った人の念頭にあるのって「一応セキュリティが騒がれてるから対応はするけど、情報って集めると便利だからなるべく消してほしくないなぁ」っていう、とても下心に満ち溢れたものなんじゃないのかしら?


ちなみに、このあたりの回答をしている人間って、


http://japan.cnet.com/column/ejapan/story/0,2000051073,20074704,00.htm より
経済産業省 製造産業局
紙業生活文化用品課長
新原浩朗 氏
1984東京大学経済学部卒業、通商産業省入省。同省にて産業政策関係の多くの法案作成などに携わる。米国ミシガン大学大学院経済学博士課程留学。経済産業研究所上席研究員を経て、経済産業省商務情報政策局情報経済課長及び経済産業研究所コンサルティングフェロー(併任)。2004年8月より、製造産業局紙業生活文化用品課長。


http://japan.cnet.com/column/ejapan/story/0,2000051073,20074704,00.htm より
今回は、実際の利活用に向けての戦略としてe-Japanでも推進されている「電子タグ」(ICタグ)について、経済産業省の新原浩明製造産業局紙業生活文化用品課長に話を伺った。新原課長はこの7月まで、商務情報政策局情報経済課長を務め、経済産業省のみならず、政府の電子タグ政策に深く関与していた、「Mr.タグ」との異名を取る人物である。(なお、インタビューは異動間もない8月中旬に行われた)
ちなみに新原課長は、経済産業研究所にも在籍(コンサルティングフェロー)していた際に「日本の優秀企業」(日本経済新聞社)を出版し大きな話題をさらった、企業戦略のエキスパートとしても知られており、今回は、ICタグ政策全般についてもさることながら、ICタグがもたらす企業戦略の変化にまで話が及ぶ、内容の濃いインタビューとなった。
という経歴だそうよ。
なんていうのかしら…あたしからすると「技術に蒙昧無知で金勘定しか知らない最低の輩」って印象しか持てないわね。
あたしとしては、せめて「きちんとしたリスク管理ができる人間」と「リスクが理解できる脳みそ+度量」を備えもって欲しい人物に見えるんですけれども…あなたの目にはどんな風にうつるのかしら?