調査ってものの意味と価値を理解できているのかしら?

http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20040622/146179/
IT系エンジニアのスキルを調査しましょう、みたいな主旨の内容だわ。
…でも、なんか突っ込みどころ満載すぎて…って感じなのよね。


情報工学を学んだのは半数以下
−中略−
情報工学を学んだからといって,優秀とは限らない」という見方はあるだろうが,「諸外国のITエンジニアは,ほぼ例外なく専門教育を受けている」(大手ソフト会社の人事担当者)。この点を考慮すると,日本のIT業界の国際的な競争力の低さにつながりかねず,気になる数字だ。
初手から笑えたわ。まずそもそも、なにをもって「情報工学を学んだ」とするつもりなのかしら? 大学で授業をとって単位をとってれば「学んだ」ことになるのかしら?
大きなくくりを曖昧な基準で判定しても、なにも意味は成さないのよ?


次に職種別の分布状況を見てみよう。調査では,経済産業省が策定したITスキル標準ITSS)が定義する11職種(関連記事)の中から,回答者の職種を選択式で回答してもらっている。それによると,最も多くの人が選択した職種が「プロジェクトマネジメント」(23.1%)。以下,アプリケーション・スペシャリスト(22.6%),ITスペシャリスト(12.6%),ITアーキテクト(9.8%),ソフトウェアデベロップメント(7.8%)と続く。
目を引くのはITアーキテクトが10%近いことだ。ソリューションの枠組みを策定し,システムのアーキテクチャを設計する「ITアーキテクト」は重要な役割にもかかわらず,日本ではほとんど定着していない職種である。この傾向について,ある人材コンサルタントは,「肩書きが人を創ることは大いにあり得る。自分をITアーキテクトだとする人が増えてきたのは,歓迎すべき」と語る。
これって自己申告でしょ? しかも(後述するけれども)分け方がかなりめちゃくちゃだわ。人間って一つの職業しかできない、とでも思っているのかしら?
もう少し、全体を包括して要素で把握する、っていう頭を……もてないのね、きっと。


スキル・レベルと年齢には強い相関関係が
ITスキル調査ではITSSに基づいて設問を作成し,回答者のスキルを自己申告方式で診断するようになっている。スキルのレベルは7段階あり,レベル1,2は上位レベルの指導のもとで課題の発見や解決を行える「エントリレベル」。レベル3,4は自ら課題の発見や解決をリードできる「ミドルレベル」。レベル5〜7は,自分の職種や専門分野に関して社内で技術や方法論,ビジネスをリードできる「ハイレベル」である。
では,回答結果をスキル・レベルで分析するとどうなるか。図1に年齢とスキル・レベルの関係を示した。25歳以下では83.7%,26才以上30才以下では55.0%の人が,エントリレベルに相当するという結果になった。30才以下のITエンジニアの半数以上が“初心者”なのだ。年齢とともにミドルレベルとハイレベルの人の割合は増える。ITSSのスキル定義では経験や実績を重視しているので,これは当然と言える結果だ。
まぁすてき。実績はまぁ「いればいい」からあがるとして。経験って「時間に身を任せてる」だけの状態を言うのではなくってよ? 経験は「使う」ものなの。そのあたりを分かっての発言なのかしら?
単純に「年齢が高いほうが自分がスキルが高いと思い込んでる」っていうのが、この結果から唯一わかる結果じゃないかしら? 実態がどうかなんて、自己評価だけからじゃわからないものよ?


だが40代後半になると,その傾向が頭打ちになる。特に56歳以上ではハイレベルの人が増える一方で,エントリレベルの人も増えるという現象が見られる。多くの人がマネジメントに専念し,システム開発の実務から離れることが大きな要因だろう。技術やビジネスの変化によって,過去の経験や実績が役に立たなくなっているという要因もあるかもしれない。
このあたりからして愚かさ全開って感じよね。「過去の経験や実績が役に立たなくなっている」ってあたりが間違いよ。ネームバリューやはったりでは食べていけないの。お分かりかしら?
経験を「積んでも使えない」んじゃ、カスよね。


さて,ここまで読んでいただいた方に,ぜひともITスキル調査への参加をお願いしたい。参加することで,「同職種のエンジニアと比べた時,自分はどのレベルなのか」「自分の強み,弱みは何か」など,いわゆる“自分の市場価値”を知ることができる(自己申告方式なので正直に回答することが前提)。
結局ここにつながるのよね。


同時に,自分の今までの経験や実績を見直すことは,今後のキャリアの方針を定め,それを実現するためにどんな知識を身に付け,どんな能力を高めればいいのかを知るための重要な手がかりとなるはずだ。
どうかしら? 怪しいものだわね。
とりあえず、その「ITスキル標準ITSS)準拠 第3回ITスキル調査」(http://bp.e-shock.jp/itss-ds/entry/login/login.asp)ってのに行ってみましょ。
で、さっきの「職種」の説明が出てるわ。ちょっと長いので、各自チェックして頂戴。https://bp.e-shock.jp/itss-ds/entry/appendix/jobtype.asp から見れるはずよ。
あたしの感想は…どうしてこう「無駄に細分化」したがるのかしら? しかも内容が分かりにくいったらありゃしないわ。
例えば、を出してみるわ。


https://bp.e-shock.jp/itss-ds/entry/appendix/jobtype.aspより
セールス
顧客(特定、不特定)を開拓し、リレーションを維持する。また、顧客の経営方針を確認し、その実現のための解決策の提案や、ビジネスプロセス改善支援、ソリューション/製品の提案や販売を行なう。


https://bp.e-shock.jp/itss-ds/entry/appendix/jobtype.aspより
コンサルタント
顧客の経営・業務上の課題を分析し、それを解決する事業戦略やシステム戦略の立案、カウンセル、パッケージ導入の提言等を行なう。
この二つにおいて、「顧客の経営を把握/分析して問題点の解決に向けて提案を行う」部分が完全に重複してるの。
ちなみに


https://bp.e-shock.jp/itss-ds/entry/appendix/jobtype.aspより
ITアーキテクト
顧客のシステム戦略に基づいて必要なソリューションの枠組みを策定し、システム方式を設計する。開発に関しては、必要に応じコンポーネント設計の助言も行なう。
ってのもあるわ。他にもこんな感じの重複がいっぱい。あたしには「ただの言葉遊び」にしか見えないわね。
履歴書に書く「職種」っていうのはまぁまだ「よく分からない連中に簡潔に説明する」ための必要悪だと見て取ることも出来るわ。でも「ITスキルの診断/アンケート」のためにっていう理由で、こんなバカげたものを出す理由なんてどこにも見当たらないわ。
これって結局「物事の本質を理解せずに進めている」いい証拠なのよね。
あたしたちの職種って(他の職種でもそうなんですけれども)色々な要素の掛け算なの。顧客との接触の有無、システム作成における仕切り屋という立場の有無、作成現場への労力の注力の有無、納品後のサポートの有無、運用、など。これらをもう少し細かい要素に分けた後、自分が「どの要素にかかわっているのか」を複数チョイスすることで自分のジョブってのが決まってくるわ。
それを無理やり一つにまとめようとして、しかもそれぞれの仕事に深い考察もなく取り留めない文章を重ねるから、こんなばかげた分類になるの。
ちなみに、スキル診断の設問も愚かさ極まりないわ。
一つ例を挙げてあげるわ。
https://bp.e-shock.jp/itss-ds/entry/technical_common/technical_common_sheet.aspに共通テクニカルスキル診断 ってのがあるんですけれども。
各項目に対する選択肢が
・できない/未経験
・サポートを受けてできる
・独力でできる
・得意/自信がある
・達人/指導できる
なの。…さて、あなたはどこがおかしいか分かるかしら?
まず「自信がある」がおかしいわ。上の3つがある程度客観的評価であるのに対して(不可能か、独力では不可能か、可能か)、自信っていうのはかなり主観的な評価だわ。そもそも「自信ないけど一人でできる」人なんてどれくらいいるのかしら?
もう一つ。達人と指導できるが共存しているのもおかしいわ。本来、教えるというのは別のスキルなの。大して高くない技術力でも教えることが出来る人はいるし、高い技術力でも指導できない人もいるわ。
ここでも「ぱっと見、なんとなくイメージできる」程度の、練られていないアンケートであることが丸見えだわね。


総括して。「30歳以下のITエンジニアの半数は“初心者”」ってタイトルはショッキングで目を引くんですけれども、中身が乏しすぎて大笑いだわ。

http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20040622/146179/より
IT業界の実態をより正確に把握
したいんなら、もう少し正確な調査を心がけたらいかがかしら?
いまの調査じゃただ労力とお金の無駄になるだけよ?