もう一つ現実が見えてないとしか思えないのよねぇ

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0405/17/news001.html
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0405/17/news001_2.html
Winny関連のお話の続報よ。
Winnyを肯定的に議論する」。気持ちが分からないわけじゃないの。どんなマイナスにも考察に値するプラスがあり、どんなプラスにも考察に値するマイナスがあるわ。純粋な黒や白は存在し得ないものなの。
でもね。この文章を見ている限り…あたしが思うのは「学問上でしかものを考えていないガキの戯言」にしか見えないのよねぇ。
少し切り込んでみるわ。


http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0405/17/news001.htmlより
技術の変化と情報社会の進展とを考えたとき、今の著作権の枠組みは窮屈すぎるという考えには、私も賛成だ。ひとつには、技術の進歩により、情報の再利用性が高まっているにもかかわらず、現行の著作権法の権利処理は非常に煩雑で、再利用が困難だということがある。また、著作権者が自分に大きなデメリットがなければ著作物の再流通や再利用も構わないと考えている場合も多いのだが、現在の日本の著作権法では特別な措置を取らない限り、原則として再利用には許可が必要となるという問題もある。
若干条件付にはなるんですけれども、このあたりはまぁうなずいてあげてもよろしくってよ?
条件付なのはこのあたりかしら。「著作権者が自分に大きなデメリットがなければ著作物の再流通や再利用も構わないと考えている場合も多い」の件ね。このあたりの程度問題って、当事者同士が意見交換で意識をすり合わせてもなおトラブルが頻発するラインだわ。そのあたりってわきまえての発言なのかしら?


http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0405/17/news001.htmlより
Winnyはひとつの新しい世界を見せてくれた。広帯域常時接続で互いに接続されたコンピュータが、好きなときになんでも取り出せる一つの情報空間を提供する世界だ。
これって、人によっては一歩間違えると「***はひとつの新しい世界を見せてくれた。公の銀行の金庫が、好きなときにお金を取り出せる一つの空間を提供する世界だ。」って読み取れるのよ? その辺わかってるのかしら?
現行の著作権法にはたくさんの疑問があるわ。でも本来の目的は「努力して作った人の努力を認めてあげましょう」っていう主旨のはずなの。その主旨すらも踏みにじる世界をもって「素晴らしい」って手放しでほめるのかしら?
現行法と理念をごちゃまぜに議論しちゃいけないと思うのはあたしだけかしら?


http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0405/17/news001.htmlより
ほんの5年ほど前には、ネットワークの帯域が狭く、通信料金も高かったため、欲しくもないファイルをダウンロードすることなどあり得なかった。しかし、ネットワークの利用モデルはネットワークの環境によって変わる。例えばWinny利用者は、関係があるかもしれないファイルを大量にダウンロードしておいて、後で関係ないものを消すといった使い方もするようになった。Winnyはキーワードを設定しておくと、それがファイル名に含まれるものを順番にダウンロードする機能を持ち、一日に5Gバイト、10Gバイトとファイルのやりとりをしたことのある利用者も少なくないだろう。
そんな愚かな利用をしている連中のためにISPや一般の利用者がどれだけ被害を被ったか覚えてらっしゃるのかしら?
念のために書いておくわ。こういったことのために、ISPのいくつかはWinnyWinMXをターゲットにした帯域制限までかけざるを得なかったの。「自分がよければ他人は迷惑を被ってもよい」って考え方はあんまり好きじゃないわ。


http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0405/17/news001.htmlより
私の知人の間では、FTTHを使い切ることのできるアプリケーションは今のところWinnyしかない、と話している。Winnyは、現在のブロードバンドネットワークを初めて「生かし切る」分散アプリケーションなのである。
愚かも極まりない発言だわ。使い切ったとして、ベストエフォード環境で他人の帯域のどれくらいを消耗し尽くしているのかしら?
そういうことをやるんなら専用線でも引いて、それから考えて御覧なさい?


http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0405/17/news001_2.htmlより
ここまで、いくつかのWinnyの功績を挙げてきた。証明こそできないが、私はWinnyがこれだけ多くの人に支持されているのは、単に映画やソフトがただで手に入るからではないと思う。Winnyが作られ改良されていく過程、そこに込められた思想、Winnyが見せてくれる新しいネットワークの使い方など、様々な点でWinnyは優れているし、何より口や文章だけではなく、それが動くものとして手にはいるということは素晴らしいことだ。
あらそうかしら?
あたしが知っている限り、多くのユーザにとって重要なのは「映画や音楽やソフトがタダで入手できるから使っている」だけだわ。著作権侵害なんて思ってもない人たちも大勢いらっしゃってよ?
そういう多くの人たちは別にバージョンアップもしないし(Winnyが作られ改良されていく過程への否定ね)、背景になる思想どころか著作権侵害に当たることすら意識していなかったわ(そこに込められた思想の理解への否定ね)。
どうしてこう「高尚な議論に持ち込んでさも素晴らしいものにしようとする」のかしら?
上を見るなとはいわないわ。でも底辺を見据えることってそれ以上に重要よ?

そうして、結局ここでも発言されていないもう一つのポイントは「なぜあそこまで匿名性を高めた使用にする必要があったのか?」ってことへの考察なの。
もちろんそれは「現行法の著作権法への反撃」の意味合いを込めているのかもしれないわ。でも結局「違法性の高いファイルのP2Pに使われることへの想定」を否定するものではないの。

この記事にしても、元にしたと書かれているhttp://ishbash.blogtribe.org/entry-1b51c5bce065ef94b9326cb08cabd9a2.htmlhttp://ishbash.blogtribe.org/entry-8bbe70feb03bfce691439c50be0bed81.htmlを読んでも、結局根底に流れている雰囲気は「Winny使ったっていいじゃん」という非常に分かりやすい主張なのよね。とても自分本位な、周りが見えていない主張だわ。
ここで「前向きに」とか発言するのであれば、例えば「経済効果への、プラスとマイナスの双方を視野に入れた考察や調査結果」とか「著作権法の本来の理念と現行法とのひずみに立脚したWinnyのもたらす功績」とか、もう少しまともな考察が出来ないものなのかしら?
そういうことをやらずに「いいジャン便利だし」の延長線でものを書いている限り「社会を知らない愚かな研究者の戯言」を超えることはないわ。

もう少し骨のある男っていないものなのかしら?